新築住宅
藤沢I邸(2020年竣工) 1階親世帯➀
今回は神奈川県藤沢市に最近完成したI邸について紹介したいと思います。
Iさんの家、最初は鎌倉の海沿いの敷地でいくつか土地を探し、計画してみました。
候補地はいずれも眼下に海の見える敷地ではなく、見えても家々の屋根越しに、わずか見える程度
なので、見方を変えて当時お住まいだった藤沢市で探すことにし、今回の敷地に巡り合いました。
畑やかまぼこ型のビニールハウスが並ぶ田園地帯、鎌倉に比べ、ずっとゆとりのある敷地、車での移動の便もよく、親子2世帯の住宅を建てるのに絶好の場所でした。
最初の写真は1階の親世帯の住まい。
天井の高さは4mにしてほしいというご希望。普通木造の柱は3mの長さなので、有効で4m取るとなるとその上の丈三の柱(約4m)を使ってもほぞの長さも考慮すれば足りないことになる。さらにその上の6mの柱を多用するとかなり高価なものになる。さてどうするか?
前回のブログ、天井高4mの続きです。
通常の長さ3mの柱材を極力使う工夫として、建物内に中間層を設けてはどうだろうか。
建物を横から見ると1階天井と2階床との間に高さが1.4mほどの
人が、かがんで入れる空間を設ける。
1階はリビングダイニングだけ4mを確保すれば後の部屋の天井は低くて良いので、
そこ以外を2階の子世帯床下物置として利用、
あるいは床をその分下げてフロアにレベル差を設け、豊かな空間にすることもできる。
つまり1.5メートルの高さの層を1階の親世帯で利用するか2階の子世帯で利用するか仕分けし、
結果的に3mの柱+1.5mの柱で4mの天井高を確保しています。
今回計画時の空間パースを参考に。
本棚が置いてあるところが中間層です。.
玄関から奥に進む際、手前のホールや廊下など
ワンクッションおいて奥に進むことが多いが、
藤沢のI邸は大理石を施した土間がそのままリビングに繋がる。
ガラス扉から奥の様子がちらりと見え、リビングへと誘われる。
玄関ホールを暗めにするとリビングの明るさが強調され
自然と足も向く。
玄関から奥に至るルート、実はもう一つある。
玄関から奥への別のルートは後程に。
ガラスドアからリビングルームに入ります。
土間の床は大理石のタイル、それに白壁、お客さんの好みでもありますが、それについて思い出したことがあります。
40年前に建築家アルバ―アアルトが作った建築作品を見に北欧を訪れた際、フィンランディアホールでこの大理石と白壁とのコントラストに魅了されました。
いつかこの組み合わせを使ってみたいと思いながら、その後今回に至るまで温存してきたわけです。
当時、建物の外観や内部の柱型など随所にこの素材の組み合わせは見られました。が、特に印象深かったのは暗めの階段室でした。
そこでは床から1.2m程の高さまで大理石でその上、天井までが白壁。
腰壁部分は階段とともに斜めに上がってゆき、人の動きについてくるようなイメージ。
フィンランディアホール内の大理石はほとんど模様の目立たないホワイト系でしたが、階段室は今回使用した大理石「アラベスカート」に近くグレーの模様が際立っていました。
今回改めて写真を見ると
床の木も加えてインテリアは北欧のテイストに近いかもしれません。
1,2階完全分離2世帯住宅の2階玄関前のテラスです。
1.2階の中間層をここでは2階でもらい
吹き抜けの解放感
2階への外階段の上りやすさにつなげます。
手前が玄関前テラス、奥が2階から直接出られるバルコニー
このように同じ2階でも床にレベル差が生まれています。
前のブログで玄関ホールから奥にアプローチするのに二つルートがある、
一つは紹介済みのガラス扉からリビングに至る方法、もう一つがこれ。
ステンドグラスの扉を開けるとスタジオになりそこがリビングとつながる。
正面のカウンター上に手洗いがある。
コロナの世の中で、玄関の手洗いはニューノーマルになりつつあるが、コロナ前の計画当初からあった。
壁が左手前に見えるがそこはトイレ、トイレ用の手洗いが外に出ているわけでコロナを事前に予知したわけではない。
トイレの位置も計画当初から変化はない。
違いと言えば奥のスタジオは計画当初は和室で、
玄関土間が奥まで続き北陸金沢の民家によくある土縁のようになっていた。
洋風のお宅であり手水鉢の手洗いはこのような形で残ったわけです。
昨日の画像と同じですが奥のドアを開けてみました。
手洗器のあるカウンターはスタジオへとつなげ奥へと誘います。