新築住宅

神奈川鎌倉G邸 (2016年竣工) ②

 

ブログ348中央の襖を開けると廊下を経て

写真の格子戸が現れます。

そして洗面化粧室側から

格子戸を見ています。

これは古建具を活用、不透明のガラスを入れ

ハンガー戸として使用してます。

右手の白い横桟はタオルウォーマー。

 

 

洗面化粧室側から浴室を見ています。

床も壁も落ち着いた

グレー系のタイルで仕上げているのですが

奥の壁付近を

少し琥珀色の味付けをしており

セレニティーのある空間にしています。

 

 

先日の琥珀のテイストですが

浴室奥の壁に琥珀色のタイルを一部貼っています。

 

大理石にラッカー塗装を施したものですが

一粒が7ミリ角とかわいらしいモザイクタイルです。

形も均一ではなく正方形の一部が欠けていたり

歪んだ形だったりして近くで見ても面白い。

写真ではわかりずらいかもしれませんが!

 

(平田タイル BISCUIT Micro Mosaico)

 

 

写真は浴室側から洗面化粧室を見ています。

奥にトイレもありますが

トイレは全部で3か所あり

プライベート、パブリックによる使い分けをします。

それぞれ個性を出していますので

順次紹介してゆきます。

 

 

写真は

玄関ホール手前にいて

奥を見ていますが、前回の浴室は

突き当り右側。

左側は和室になります。

そして手前のアルコーブの中に古建具の扉が見えます。

ここがパブリック(来客用)のトイレです。

ちなみに

突き当りのグリーンガラスは収納室の入り口になります。

 

 

パブリックのトイレの説明を前回

行いましたが、入り口を開けて現れるのが

この写真です。

トイレは外壁沿いに位置しておらず

窓がありません。

換気はマンションのようにダクトで

外部に排出しています。

窓の代わりに鏡を設けてはいます。

が、さらに

鏡の上の天井には箱筒型のダクトを設け

2階にある階段室の窓からの光を呼び込み

トイレ内に「抜け」を創り

空間の閉塞感を和らげています。

 

 

前回ブログに2階階段室に触れたので

さらに詳しく説明します。

中央部分が1階のトイレ天井と

つながっている部分です。

右手の窓は大きくはないが階段室の端から端へと続く

横に長い窓になっています。

ここからの光をトイレにもいただこう

というのが中央の光ダクト。

古い欄間を用いてあくまでも階段室のための

意匠でありトイレダクトの目隠しに見せない!

つもりですがいかがでしょう?

 

 

前回画像に現れていた横に長い窓

それを左に見て

突き当りは2階のトイレ。

2階床から3段下がった踊り場にあります。

扉をよく見ると

下枠に添え木をし、間に竹を仕込んで

古建具の高さを調整しています。

この天空の館では

徹底して古建具を再利用しています。

建物は古民家を移築しているのではなく

新築ですが、

インテリアには古い建具や欄間を使います。

べんがらを木部に使用したとき

クラシックのテイストを味わえるからですが

北鎌倉駅前の古民家ミュージアム

(1998年竣工 福井県の古民家の構造体を移築)

以来、使用しています。

 古い材料を新しい建物に使うことは

実は昔から行われており、

現在残っている古民家もすべて新しい材料で

作られたわけではなく

梁に柱の「ほぞ穴」が残っていたり、

柱に「貫き穴」が開いていたり

よそからか持ってきた材料を再利用していることがわかります。

川崎市には日本民家園があります。

伝統建築に触れ、

様々な発見を楽しんでみるのもよいかもしれません。

 

 

前回の扉を開け、右手に現れる空間です。

2階トイレは階段の踊り場に位置しているので

2階の床より60センチほど下がっており

その分相対的に天井が高くなる。

が、勾配天井なので

手前に来ると大分下がって窓につながる。

 

前回の写真には、勾配天井と窓との関係が

よく表れています。

階段室の横に長い窓はそのまま延長して

トイレの中へと続いています。

 さらにその前の画像をご覧になると

窓に向かって下がってゆく

様子をつかみやすいと思います。

 

 

前回に続き2階のトイレ

「ダイナワン オーナメント ブラウン」

壁タイルの名称。

以前から使いたいとマークしていたが

なかなか適当なスペースがなく

今回初めて使う。

「受注輸入」と商品説明にあるので日本製ではないだろうが

和のテイストそのものだ。

 

鏡の中は入り口扉の画像です。

 

 

前回のトイレの扉を開けると

階段室踊り場に出ます。

奥は2階の諸室。

ブログ359写真に写る

窓を背に撮影しています。

 

正面は1階トイレの採光ダクト。

4面から光を取り入れます。

 階段床に光が当たっていますが,

これは北側隣家の反射光。

 

 

なんの写真でしょうか?

想像がつくでしょうか?

たびたびコメントのある

1階トイレ採光ダクトの中です。

両側に古欄間がはめ込まれ

さらにガラス面に反対側が

それぞれ映るので

のぞくと万華鏡のような不思議な

画像になります。

 

ちなみに覗いても

1階のトイレにいる人は見えません。

 

 

 

採光ダクト部に使用している古欄間

以前どこかで使われ

レストアしたものを購入使用している。

欄間も今ではコンピューターを利用して

自由な絵柄を機械で刻める。

それに古色の塗装をすれば

これに近いものはできるかもしれない。

が職人が無心で彫り、その後時を経た素材ならではの

味わいをもっている。

 

 

同じようなアングルで

恐縮です。

自分では気に入っている写真なので。

 

階段の途中に踊り場を設けた場合

そこはデザインポイントであると思う。

今回のようにトイレを設けたり

ライブラリーにしたり

踊り場フロアーのすき間から階下の人が

見えるスポットとしたり

階段昇降時に一息入れる場所であるのだから

発展させると唯一無二の空間になる。

 

 

2階トイレの写真がもう一枚あったので

紹介します。

 

入口の扉を左に、正面は外光を取り入れる窓。

階段室から連続する窓でもある。

わずかな光の中で目が慣れてゆき

天井の梁や垂木が徐々に見えてくる、

それもトイレに滞在する楽しみ。

耳をそばだてると、静寂の中に

不如帰の鳴き声も聞こえる季節だ。

 

 

色の異なる古建具を用いて

用途の異なる部屋の入り口のドアにしています。

正面のドアの下部に竹をはめ込み

古建具に下枠を加え

高さ調整をしています。

当社のデザインで

建具施工は阿部興業。

ブログ365では竹を配した古欄間

を紹介しましたがこれは古福庵で購入

したもので

既に竹は組み込まれていました。

 

 

前回ブログの画像、正面にあった格子戸を

右に見ています。

正面は欅の板戸

役者(古建具)は同じでも

写真そのものは前回ブログのほうが美しくみえる。

今回のように格子戸は脇から眺めると

格子が重なり、間がふさがって

板戸のように見えるせいか。

格子戸のように景色や光が間から透けて見えると

もう一つ別の次元(空間)が感じられる。

この奥ゆかしさのデザインが和を感じさせるポイント

古い建具を使っているから和なのではない。

階段室中央の欄間採光塔も同様。

 

 

下から階段を上がってくると

正面に書斎の入り口が見えます。

古建具(古福庵)の格子と板の部分の割合

そして全体のプロポーションは

ブログ368の建具が美しい。

でも

ここは書斎の入り口、

2枚引き違い戸を採用し

美しさもさることながら風格を

表します。

 

 

吹き抜けを通し2階書斎から鎌倉の山を簾越しに見ている。

天井や柱梁などの構造体はべんがら濃紫色の塗装。

カウンター下の穴が開いている部分は?

これは

べんがらではなく黒柿の古欄間の地の色だ。

ブログ332に吹き抜けから見たこの古欄間が写る。

カウンター下にあり節穴ばかりが目立つが

厚い黒柿の板を半分に切るとこのように同じ杢目の板が

2枚できそれを左右対称に配した古欄間を再利用している。

今時このような材料を探し出すことさえ難しい。

昔の目利き?普請道楽?に感謝!

 

 

今回は吹き抜けを右に見ている。

竹の簾の様子がよく見えると思う。

南西に向いているのでこれからの季節

簾は特に効果的だ

黒いべんがらも

日の当たり方で赤みが差し

黒紫がさらに明るい紫になっている。

やはり

混入の量的から言っても少ないけれど黒色の中にあって

赤べんがらは最後まで存在を主張している。

 

 

2階の書斎から

吹き抜け側を望む写真です。

 

かなり立体的に映しているため

画像としては誇張して見えますが

撮影している書斎の位置関係や

吹き抜けとその周囲に広がる各室、

外部のデッキ、庭などの空間は

把握しやすいと思います。

 

 

各室とも2階は屋根を支える構造体を現している。

通常どこの家でも天井を平に張るが

その上には伸びやかな空間があるのだから

見せない手はない。

もっとも

見せるだけのデザインを梁や柱、垂木、

など屋根を構成する木組みに施さなければならないが。

いやそこに木造デザインの醍醐味がある。

 

今回もべんがらを天井など木部に塗装している。

杢目や素材感を優先するため塗装しない、素地がよい

との考え方が一般的なように思う、はたしてそうだろうか?!

 

暗い中に光が反射して杢目が浮き上がって見えたり

1日の光の移ろいによって様々な表情を見せるのは

このべんがら塗装ならではだと思うのだが。

 

そもそも部屋が美しい、塗ると。

 

 

外部に面する開口部は硝子戸に障子を入れています。

障子の柔らかい光が室内を包み

外からの視線を遮り、室内の断熱効果を高めています。

中央の4枚障子折り戸はバルコニーへと続きます。

その右、照明スタンドの陰になっている障子は

室内用で吹き抜けに繋がり、ここから1階のリビング

や2階の書斎を望むことができます。

壁は大壁として、柱は見せませんが右手の柱は

屋根を支える棟持ち柱の意味があり、それを表現する

ために太い柱をそのまま見せています。

 

川崎の日本民家園を訪れ、古民家の幾つもが、天井はなく

屋根の頂上を目指して丸太が上ってゆく小屋組が見えます。

もっとも暗くて目が慣れるまで、その様子がわかりません。

そこに不思議な感覚を抱きます。特に子供たちが。

何か上にいるんじゃないか?家の守り神?

どんな顔をしている?と思い浮かべたり想像力を働かせます。

 

朝から晩まで日の移り様によって見え方が変わる

べんがらの屋根組は、古民家ほど暗くはないが

子供たちの想像力を働かせるには十分「暗い」のでは。

 

 

今回は別の個室を案内します。

同様に障子を開口部に入れています。

バルコニーの障子が開き、向かいの

山を少しだけ望めるかもしれません。

前回述べた屋根裏の絵本のような世界ですが

屋根を支える何本もの垂木

の線がはっきりしているのと対照に

その後ろの垂木の側面,陰の部分と

天井に写る影とが

靄ッとして境目がはっきりしない不思議な感じ。

これが

べんがらの醸し出す陰影です。

 

 

べんがらの空間は陰影に富む、と書くと

、暗くないかとの疑問がわくかもしれない。

実際、昼間は開口部からさんさんと日がそそぐので

こんな感じです。

写真のように強い光の場合、天井を

白っぽくすると

この落ち着きは得られないかもしれない。

そもそも天井は視野から外れ

白い壁で囲まれた印象が強まる、

それが故の落ち着きだろう。

それにしても

絵をはじめ、室内に置かれた物の表情が豊か。

 

 

この部屋の北西側の窓から

近くの山並みを見ています。

晴れて、霞がかっていなければ

山間からほんの僅か富士山が眺められます。

「天空の館」なので

山のてっぺんが望ましいのでしょう。

此処の谷戸にはもっと高い敷地はあります。

が、山の陰に隠れてしまい

日照条件があまりよくありません。

その点この土地は

近隣では珍しく一日中まんべんなく

日が当たるエリアの中でも

小高いところですので

そう呼んでみたくなる場所です。

 

 

窓から見た昨日写真の景色を

部屋の外に出て、バルコニーから眺める。

 

同じ鎌倉でも私の住む腰越地域では

毎年近くの山に杜鵑がやってきて

特徴ある声を聴かせる。

時に夜遅く、声を聴きハッとして時計を見ると

、11時だったりする。

最初,杜鵑きずいたのは20歳前だったから

毎年の風物詩になっている。

 

ここは向かいの山から聞こえるのかと思いきや

此処には来ず、北側の山から

かすかに聞こえてくるそうだ。

 

5月の末から6月の初旬にかけて鎌倉に飛来し

そのあとは

富士山麓や軽井沢に行くと何かの本で読んだ。

 

 

バルコニーから吹き抜け前にある

竹簾を見ています。

一本一本の竹は横方向に

3か所のワイヤーで串刺しにし

固定されています。

竹の間隔で向かいの山の緑の見え具合が

決まるのですが極力間を開けず

詰めて並べます。

その時の透け具合はブログ334をご覧のほど。

 

 

前回の竹簾スクリーンを庭から見上げると

このような外観に。

椅子が置いてあるところがデッキテラス。

奥行きは3.2mと大変ゆとりがあり

オーナーによれば本降りでも外にいて

雨の景色を楽しめるそうだ。

 

これから夏

午後の日差しが厳しくなる季節だが

この竹簾は西日除けも兼ねている。

また2階の書斎からは簾越しに

外の景色を眺めるという

伝統的な興趣も感じさせる設えだ。

 

 

デッキの奥行き感を表す写真です。

 

オーナーは朝、古い家具に座り

コーヒーを飲み、ここで寛ぐ。

奥行き3.2mのうち2メートルほどは

室内側に入り込んでいるので、

周囲の視線にさらされることなく

過ごすことができます。

 

 

デッキから庭を眺めた

夜景の写真。

前回とは反対側から撮影しています。

 

 

ブログ381の画像から右手を見たところ

東側にも山が広がっています。

前回は別記を室内側から見ていましたが

今回は庭から。

 

2階の簾のような竹の格子は

竹を詰めて打ってあるので

壁のように見えます。

 

一番手前のデッキは木製ではなく

大谷石で仕上げています。

此処だけ1段レベルを下げて庭へとつなげ、

ブログ382ですとで少し様子がつかめます。

 

 

前回ブログ写真の山側の外観です。

右手にはブログ最初のころ紹介した

玄関へと続く大屋根が見えます。

外壁の仕上げはマジックコート

べんがら塗りの塀は、中央手前部分で

キッチンの外部にあたり

「物干しゾーン」を構成します。

 

 

軒先に向かって壁がカーブしてゆく様子を

少し拡大してみた写真です。

2階の平面形状

を上から見ると、雁行しているため

手前の壁のカーブと同じ形が

奥に行くに従い

もう一度現れています。

今回と前回の写真では現れていませんが

実は、さらにもう1回

こちらの東面に出てきます。

 

 

右手が北側道路

左手が東側道路

いずれも、奥に行くに従い、下ってゆく。

北と東、の道路が交わる手前部分が

唯一、直接敷地に入れる場所であり

玄関へのアプローチもここから取っている。

右からも左からも坂を上ってここにたどり着く。

谷戸の中でもかなり高いところである。

さらに高い敷地もあるが

日陰の敷地となりやすい谷戸、その中央にあって、

ここは1日中、日が当たる。

ほぼ頂上付近、城が建つような場所でもあり

「天空の館」と呼ぶ。

 

前回の続きであるが、

茶色の壁はこのように3か所で折れている。

右に行くに従い、屋根は下がってゆくのであるが

中央は玄関の吹き抜け、右手は階段室と

それぞれ必要な高さに収めながら屋根を低くし

北側道路沿いの隣家の日照を確保し、

かつ圧迫感の低減を図っている。

 

 

前回のブログ387で坂道を右側に

下ったところからの撮影です。

右から階段室、その左が

玄関ホール吹き抜けに続く廊下、

左端の壁部分が個室になります。

 

写真では左端の壁が一番低く見えますが

逆で

屋根は手前に向かって下っており

左端が一番高い、

この様子はブログ387をご覧ください。

冬の早朝の撮影で

壁のカーブがすっきりとして見える

光の当たり方、です。