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日本の美を伝えたい　６３５

撮影　平野薫

湘南邸園文化祭　２０２４　その２

「生き返る古民家－鎌倉にある移築」１２月８日（日）開催

前回ブログ紹介の「旧鎌倉郡　片瀬腰越の歴史文化を訪ねる」11/30に引き続き湘南邸園文化祭に参加しました。

今回のイベントは藤本の開催ではなく日本民家再生協会の主催です。

数年の時を経て１９９８年に完成した北鎌倉古民家ミュージアム。

福井県の築１００年を超える古民家２棟、横浜磯子の古民家１棟を移築し150坪の全体計画の中に３棟を合体、北鎌倉円覚寺に隣接して鎌倉時代の古陶磁器を展示する美術館として再生しました。

建築にあたっては古材のほか時代物の建具や欄間彫刻、お寺の解体時に入手した蟇股、洋館解体時にはアールデコの照明器具やステンドグラスなど、約３０年前の当時は廃材になりそうなものを再生、再利用しました。建築主と現場で打合せながら適材適所、建築空間の中に溶け込ませています。

建築主の長年の夢の実現に向け、計画段階、開発許可申請、分離発注による予算収斂、古民家部材の郡上八幡にて仮組、鎌倉現場にての工事調整など完成まで数年を要した内容を、古民家再生躯体工事施工者の㈱山石古民家工社　山下智也氏と設計者藤本が語りました。

弊社藤本にとって北鎌倉古民家ミュージアム（約３０年前完成時は「鎌倉古陶美術館」として発足）はべんがら（酸化第二鉄の顔料）に改めて触れる機会でした。柱や梁、天井板などの追加した新材に塗り、古材と調和する控えめな表現、微妙な陰影を醸し出す、乾拭きにより鈍色に光り木目が浮き出る、など魅力があり、のちの仕事の大切な要素となったこと。また予算収斂の段階で分離発注を行った体験もまた今日の仕事に生かしています。

開催にあたっては館主より奥の展示ホールを使わせていただき２０名（三分の二は日本民家再生協会の会員）の方々と一堂に会することができ、対談の後は。山下氏と藤本が館内を説明しつつ巡り、最後委に質疑応答の機会を設けたのち閉会しました。

べんがらについては学生時代、岡山県吹屋で出会い、建築家として独立後、陶芸家の住まいで陶芸に使用するべんがら顔料を漆喰に混ぜ赤い壁を作り空間が華やいだ記憶があります。そして今年３月から８月にかけ能登半島地震の被災地支援に建築家として参加し、全壊、半壊建物の、修復アドバイスに加わった際、べんがら漆で塗られた伝統的な家々にあらためて目を見張った。

べんがら空間、その後のチャレンジを新年ご覧いただきます。

２０２４年末にあたって、出会えた方々に感謝。