新築住宅

洲崎町の町屋 (2012年竣工)

-集まって住む“終の住処”(ツイノスミカ)の試み-

現在老人を受入れる施設は多いが、昔の様に血縁に捉われず地域社会の中で生涯を過ごしたいと思う人も多い。
老人や若者への住まい方の提案として本計画を位置づけている。

施主はグループホームを運営し老人が集まって住む事の実際を知る。
自宅の建築に当って一戸建ではなく一人暮らしの老人もサポート出来る様な共同住宅を選択。

自らもそこに住み若い人達の参加も募り顔の見える小さなコミュニティーを作る。
「構成する8戸が一軒の大きな家」これがコンセプトである。

洲崎の町屋-NO1

横浜市金沢区、金沢八景でも有名な平潟湾沿いの洲崎町。

そこに建つ町屋を紹介しよう。

8戸で構成される小さな集合住宅。

30歳代の単身者や若夫婦、幼児がいるかと思えば、70代、80代の
高齢の方々や、50の男性も。住民の年齢構成も幅が広い。

建て主は古家を立て直すに際して1戸建ではなく
何人か集まって住む集合住宅を選択。

今は60歳代だがいつか体の自由が少しずつ効かなくなることを見越して
今回の計画を実現した。

住んでいる人々が一つ屋根の下で共同で住むことを
少し意識し
少しだけお互いに気を使いあう
そんなゆるいコミュ二ティーの形成を目指す。

シエアハウスではなく、各戸にキッチン、バストイレ、洗面所を装備。

全員が集まれるダイニングキッチンやラウンジ、外部にはバーベキューや
桜の花見ができる中庭もある。

この中庭に面して各住戸入口があり
2階廊下からは中庭を見下ろすことになるが
ドアを開ければ自然と顔を見、あいさつ。

ラウンジでは、住人の書道教室、やウクレレ教室
ヨガ体操なども開かれ、住人参加は無論
近所からも知人があつまり、より大きなコミュニティー
にも門戸を開く。

画像は中庭におかれたガーデンチェアー。

ベンガラ塗の木の外壁、
集合住宅というより「一軒の大きな家」。

そのイメージを大切する。

 

洲崎の町屋-No2

「一軒の大きな家」の外観の画像。

西側の外観。

ここから見ると、建物は一つに見えるが、
上から見ると屋根の形はVの字。

画像の左側北棟と右側南棟でここはVの付根にあたる。

右側左側といってもおわかりにくいかもしれないが
素材や外壁の角度の違いで異なるものが中央部で
合わさっている様子が分かるのでは?

右上と左下の白壁は同じ素材だが、
左上は油性塗料を塗りその上からワイヤーブラシで
こすり木の質感を出している。

右下は木摺り板に、いつものごとくベンガラを塗装し
板を重ねた大和張りとしている。

屋根中央は谷となり雨水がたまりやすい。

排水しきれぬ雨水は左の北棟屋根先端から
流れ落ちる。

洲崎の町屋-No3

前回画像と似通って恐縮だが
1か所だけ違う。

中央の入り口ドアが「いらっしゃいませ」
と開いたところ。

地中海沿岸の住居のように
ドアを開けると中庭で、
そこから各住戸にアプローチする。

赤いベンガラ壁下の植木はこの段階ではまだ
小さいが、現在は中庭樹木ともども
大分、ボリュームが大きくなっている。

特に中庭のしまトネリコとオリーブは横に張り出し
剪定が必要なくらい。

最近の画像も今後、紹介しよう。

 

洲崎の町屋-NO4

ゲートを入りそのまま進んだ時の画像だ。

今年の夏の写真なので、樹木が鬱蒼としている様子がわかる。

この通路はそのまま中庭となり、奥に見えるオリーブの木の向こうは
横浜市道で、桜並木になっている!

春は中庭から花見ができる。

左手白い格子部分が共同のラウンジ、それに続くガラス戸部分が
共同のダイニングキッチンとなる。

各戸にキッチンバストイレは付いているので
日常的にではなく時々これらの部屋は使用される。

左手上部は外廊下の張り出し部分。

出し梁の先端は清水の舞台よろしくベンガラ塗装を施した
板で覆っている。

床は石器質の煉瓦タイルだが表面がスクラッチ状になっているので
そこにも目地材を塗ってタイルも含め全体をふき取っているため
布地のような柔らかいテクスチャーになっている。

 

洲崎の町屋-NO5

突き当りに入口が小さく見えている。

前回の画像はここから撮影。

左が南側、右が北側の棟になる。

右上はベンガラ塗装の外部廊下、

1階白壁部は共同使用のダイニングルームとなる。

中庭の樹木は前回画像ほどおいしげっていない。

中央部は平屋に見えるが、2階建て。

左側端の外観がその一部を表している。

白い窓の腰部分の煉瓦は目地を鏝で仕上げているが
床の煉瓦タイル部分は表面もこするように拭き取り
目地をタイル表面まで埋め
柔らかな感じを出している。

 

洲崎の町屋-NO6

前回
NO4の画像右側が
樹木で隠れてしまっている。

NO5と同じ時期に撮影した画像であれば
まだ樹木が生い茂っていない。

それが今回の画像。

右手の南側の棟の有り様が
お分かりいただけると思う。

煉瓦タイルで舗装してある部分
そして
南側の各戸玄関、北側棟の出入り口が
中庭に面していることなどが。

従いゲートを一歩中に入れば、
スペインやイタリアの中庭のように
屋外だけれども自分たちの部屋の延長といった
非常にプライベートな空間となりうる。

このことは住む人たちが小さなコミュニティー
を作り出すようなきっかけを意識している。

 

洲崎の町屋-NO7

中庭から見た南側棟。

前回と反対側の位置だ。

屋根は外断熱を行っている部分と

そうでないところは段がついており

境にアルミアングルの樋を持つ。

右手前の北棟と南棟とは右奥で接続するので
赤くベンガラ塗装された北棟の外廊下と
南側屋根とはぶつかる。

それを避けて一段南棟の屋根を
上げているが屋根のラインをシャープに見せている。

奥の白壁はエレベーターシャフト、
高齢者が2階に住む対応策だ。

 

洲崎の町屋-NO8

玄関ドアは既製品でもしっかりしたものはあるが
味のあるものはまだ少ない。

洲崎の町屋南棟に使われている玄関ドアは
厚めのフラッシュ戸に胴縁や薄い壁の間柱に使われる
30×40の角材を駒返しに打ち付けたものだ。

ゲートのドアもこのタイプで赤いベンガラを施している。

以上専門外の方には不親切な表現だが、
多少なりとも建築を
かじった人であればこのドアがいかにローコストで
できているかわかる。

このドアを考案するきっかけとなったのは、
30年前に設計した世田谷の住宅リフォームにおいて。

既存木製ドアのゆがみを補正するために
細かな格子をとりつけたところ
予想以上の表情を見せたからだ。

ドア横の水切りは羊羹の様な厚みのある煉瓦を加工しているが
その先端のピースは多面体をしており、情熱ある職人の技による。

洲崎の町屋-NO9

南棟(向かいは北棟)のリビングダイニングを外から見ている画像。

前回画像と向かい合う位置だ。

屋根にはアングルの樋が設置され端部から流れ落ちる。

床に排水を取っているが湿気から守るため
建物の腰回りを煉瓦で包む。

この煉瓦と後ろの北棟廊下手摺、建具など
木部ベンガラの赤を建物全体の
イメージカラーとしている。

洲崎の町屋-NO10

この画像だと
南棟は平屋のように見えるが
左手の屋根が示すように
一気に2階まで登ってゆく。

腰壁煉瓦部分は室内でも
煉瓦タイルの土間である。

従い玄関はあいまいな形で存在する。

前回、前々回の画像は突き当りの
赤い壁の中に入って撮影したもの。

洲崎の町屋∸No.11

ブログを書くのも2か月ぶり。

昨日は仕事納め。

今年も暮れになってようやくホット一息!

と云ったところだ。

今年を振り返ると、中野区の有料老人ホームが完成。

「わが母が入るとしたら」を想定して設計。

久しぶりの大型建築だった。

ベンガラの住宅は健在で、洲崎の町屋に近い
イメージの住宅をのち紹介できるだろう。

また軒の出の全くない住宅もそのうち登場する。

リフォームの比重も多くなっている。

30年前まだ血気盛んなころ?設計した住宅
を今年はリフォーム。

「昔の自分を見る」ところが随所に。

感心するが負けてはいられない。

さて画像の説明だが煉瓦の仕上げの違いをご覧いただきたい。

壁は目地をしっかり取り
床は目地モルタルをぬぐって煉瓦を探し出す仕上げ
その比較だ。

床を柔らかなイメージにしたいときに使う。

同様の説明を以前したが、この画像が
その違いを良く表している。

洲崎の町屋-No12

N011画像を今回は少し引いて眺めている。

手前右のB北棟と左のA南棟が接近してゆき
接合する部分がこのように、建物への入口となっている。

屋根先端から少し登った位置に軒樋があるので
軒先はこのようにシャープだ。

右側は2階外廊下のはね出し部だが、床を支える
梁の先端は外に突出した納まりとしている。

はね出し部分の天端は京都の清水寺のごとく
取り換えの効く板材を張り
梁先端を雨から保護している。

 

洲崎の町屋-No.13

軒先のシャープさについて

No12では

「屋根先端から少し登った位置に軒樋があるので」

と説明したが
今回はその様子を2階の廊下から見下ろす。

軒樋に使っているのは75角のアルミアングルで
一段下の樋から、直接地上に落としている。

なお屋根の角度を大きめに取って
樹木のある中庭により多くの
光を落としている。

なお右はエレベーターシャフトの壁。

 

洲崎の町屋∸NO14

前回のブログは昨年末!とずいぶんご無沙汰でした。

ブログを書く余裕が少しできたので再開します。

前回の画像には映っていなかったB棟(北棟)の外廊下が映っています。

この外廊下、実は南に面しています。

マンションでも北側にもうけている場合が多く、そこの玄関は
何となく裏側、さみしい雰囲気が漂います。

ここは日の当たる表のたたずまい。

廊下を通る人たちは時々集まる顔見知りなので
各住戸の南に大きな引違いの戸(赤い二枚戸)を設けています。 右の戸を開けると玄関が現れ、左を開けるとダイニングルームとなる。

よく見ると右の戸と左とではガラスのレイアウトが違います。

それは玄関には玄関に適した、ダイニングにはそれに対応した形になっています。

次回の画像で詳しく。

洲崎の町屋-NO15

前回説明していた玄関戸の画像です。

右は玄関ですが、左の戸を開けるとダイニング
(といっても1DKなので
かわいらしいダイニングですが、2人分ぐらい)

ダイニング側を開ければ外の廊下がバルコニーに変化、
南の日がさんさんと降り注ぎます。

赤い色はベンガラ塗料。

床モルタルのグレーや、白壁と
美しいコントラストを出しています。

よく見ると白壁と建具の周りに枠材がありません、
正確にいうと枠が目立たぬよう八掛納まりにしています。

洲崎の町屋-NO16

赤い扉をあけ
玄関から外廊下を見ている画像です。

右手のシューズクロゼット
兼収納キャビネットが
右手奥の室内への目隠しとなっています。

土間の仕上げはそのまま外廊下につながり
室内との一体感があるので
スツールを置いて外を見ながら本を読む、
外廊下への広がりや中庭の緑も
楽しめる、など
土間は
生活の幅を広げる事に役立っています。

洲崎の町屋-NO17

 

1DKタイプの住居全体を見ています。

前回の画像とつなげると、右手に見えていた大きな白い箱
(シューズクロゼットと収納)がこの画像の右端に見えます。

靴を脱いで上がると、すぐにDK。

手前ゾーンがメインの個室ですが、DKとは間仕切りがあり(3枚戸)
プライベートなスペースを確保します。

ここからは浴室、洗面所、トイレ、洗濯機置き場、クローゼット
へと移動できる、つまりDKとの間仕切りを閉めれば、
風呂上りで裸でうろうろする事ができる、
あるいは、トイレの近くなったお年寄りは
水回りがすべて、ベットサイドにあるという
安心な環境を作っています。

障子は以前ここに建っていた古家の建具を再利用しています。

昔と異なり、最近は建具の高さも高くなり、
少し建具に袴をはかせて現代の高さに合わせています。

ここは洗濯機置き場、上部に採光通風窓
その左はクローゼット、右は洗面、浴室と奥に続きます。

小屋裏収納へは小さな梯子があり、DKから上ります。

色彩計画は赤ベンガラと白壁、床は無垢の樺桜板、白木を生かす配色。

 

洲崎の町屋ーNo18

前回のブログが5月18日か!

大分また空いてしまった。

前回の画像を正面から見たのが今回のもの。

左の白壁はトイレ。

中央の障子は以前この敷地に建っていた旧家の物。

建具屋さんに袴をはかしてもらい高さを現代に合わせた。

そのなかはと言えば、左側がクロゼット。右側は洗濯機置き場!

そこは窓があり明かりや風が部屋に入る。

その右奥は洗面カウンター、浴室へと続く。

手前右は、ダイニングとの扉を閉めたところ、

こうすれば

前回

風呂上りに裸で歩き回れるとした環境ができる。

洲崎の町屋-NO19

小屋裏に上る階段はこのようにかわいらしい。

この画像は前回、前々回のブログとは逆転したプランになっている。

前回の画像でいうと右端の白い扉の裏にこの階段があることになる。

小屋裏のスペースは8帖分あるが、エアコンや、換気扇の配管スペースとしても利用。

高齢者が住まう場合、隣室の若者が手伝い、荷物を上にあげる。

 

洲崎の町屋ー20

今迄は2階の1DKタイプを解説した。

エレベーターで下に降りよう。

2階建てでなぜエレベーターと思う人もいるかもしれない。

高齢者の入居も想定しているからだ。

老いも若きも一緒に住む。

ハモニカ型のアパートではなくシェアハウスほど
住人の距離は近すぎていない。

集まりたいときは1階の食堂やラウンジを自由に使える。

中庭で住人のバーベキュー開催頻度もこのところ多い。

設計者自身も時折、参加する。

階段室の格子から漏れる明かりが美しい。

夏場、百日紅の開花を眺めるときはさらなり。

 

洲崎の町屋-21

一階に下りてまず
この部屋から。

ミニマムで生活できるスペースを想定。

バストイレ洗面、キッチン、クローゼット収納

がついて

広いように見えるが8帖の大きさ。

8帖の入口側4帖分は土間で、煉瓦タイルのヘリンボーン模様

カーペット感覚だ。

奥の板の間部分に布団を敷く。

奥の白い扉がクローゼット

板の間ゾーンの右手に、バス洗面トイレのユニット

煉瓦ゾーンの右奥にミニキッチン、

左が書斎あるいは、居間ゾーン

などとなっている。

ここにも以前この地にあった旧家の欄間をドア上に使用し、

手前ドアがプライバシー用に閉じられた場合でも通気が図られる。

8帖の大きさなので賃貸料も手ごろ、ひとり、泊りがけで

建築の構想を練るのもよいと考え、当初私が借りるつもりであったが

見学会に来場した200人の中には同じような考えの方がいて

いの一番に埋まってしまった。

洲崎の町屋-22

 

これは2階の1DKタイプ。

玄関から南側の廊下を眺めている。

さらに奥には南棟の屋根が見える。

右側の収納に注目する。

ここに来客がたつ限り、奥は収納が邪魔して

見ることができない。

したがって室内側は落ち着けるスペースとなる。

このことを踏まえながら

1階に下りてゆく。

洲崎の町屋ー24

前回【衝立の話は尾を引く】
としめた。

で、今回のこの画像である。

正面左手に人の背丈よりちょっと低い衝立が
お分かりになるだろうか?

この左手の白い壁部分は玄関ドアです!

靴を脱ぐところがない!土間が部屋になっている!

いろいろ言い回しはあるだろうけれど
実際そうなっている。

これじゃあ、部屋内(うち)が全部見えてしまうではないか!

奥まで入ってくる人は勝手知ったる隣人たちである。

よその人とは無論、戸口で対応する。

何処で靴を脱ぐかは次回に回し
まずこの空間を味わっていただきたい。

衝立という単純なしきりだが、あるとないとでは
室内の落ち着きに雲泥の差がある。

設計上はこの衝立に絡ませてソファーを置いたり
ダイニングテーブルが来たりする。

限られた面積で、豊かな空間を現出する際に
衝立はいきる。

でも実際はどんなことになるのだろうか?

洲崎の町屋-25

昨日の画像と同じ位置でとっているので
比較しやすいだろう。

玄関のドアは開いており
外とのつながりが分かる。

家具類を置くと、ここで行われる
生活が彷彿として来て
玄関ドアを開けたら
いきなり部屋、であっても違和感はない!

と思うがいかがだろうか?

違和感がないとしたら
中庭の存在がやはり大きい。

プライベートな囲まれた外部を
クッションとして内外部に介在させると
既成概念にとらわれぬプランが生まれる。

洲崎の町屋-26

前回画像は中庭側を見て撮影していたが
その背後の画像がこれだ。

申し遅れたが、紹介中の画像は南側の棟。

2DK+ライブラリ-タイプのもの。

1、2階吹き抜けがある集合住宅。

1階部分、奥はキッチン。2階がライブラリーとなっている。

ライブラリーに適しているが、別に子供部屋でも構わない。

不意の来客の寝室にも向いている。

ただここはなるべく障子(この土地の旧家で使っていたもの)
をあけはなって南東、及び南側からの光を、
1階に注ぎたいので、そのような用途を想定している。

前回の画像と比べると、空間的な把握ができると思う。

 

洲崎の町屋-27

2階はライブラリーで開け放して
1階に光を注ぐ、
と書いたが
そのライブラリーから1階を見下ろすとどうなるか
の画像がこれです。

開け放した画像だが
閉めても明かり障子だし
中間にガラス部分もあるので
吹き抜け空間は明るい。

旧家で使っていた障子は
すべて部材を付け足して
現代の高さに合わせている。

洲崎の町屋-28

前回画像の障子を閉めた状態が
左手に見える。

右側壁の大型の窓から障子を通して
下階へと吹き抜けを通して光が導かれる。

部屋自体はライブラリー、書斎感覚。

手前のベンガラ壁は階段を支えているが
家の中心でもあり、
大黒柱ならぬ「大黒壁」と位置づけている。

他の白壁とは異なり
小幅板を大和張りにし
ベンガラ塗装を施し象徴的に、
心理的なよすがにしている。

洲崎の町屋-29

「大黒壁」?

怪訝に思った方もいらっしゃると思い、
今回はその全体画像です。

ベンガラの赤い壁部分です。

大和張りというのは、10㎝ほどの小幅の板を
凸凹状に貼る壁仕上げの方法です。

通常当社では外壁に使いますが
今回は大黒柱としての象徴的な意味もあり
このように白壁と明確に分けています。

見え隠れしている階段の位置も
お分かりいただけると思いますが
よく見ると手すりに、以前この敷地に建っていた
旧家の座敷、欄間を使っています。

2階右手の障子同様歴史をつなげる工夫を行い
若い方々にも日本の伝統的なインテリアを
感じてもらいます。

またこの部屋は右側が南に当たり
2階から吹き抜けを通して

入る光の拡散する様子が分かります、
障子による陰影も伝統的なインテリアですね。

洲崎の町屋-30

前回のブログでは
欄間をどのように利用しているのか?

階段側に回り込み移した画像です。

今迄の住宅で紹介した欄間は
山梨小淵沢の建設会社手持ちの物を
組み込んで、窓下や間仕切り上
などに使用してきた。

それも数に限りがあり、今回はもともと
この地に立っていた住宅の物を使用。

オーナーとは中学校時代からの付き合い。

2階座敷の障子越しに入ってくる
海からの風を感じながら過ごした部屋の
建具や欄間は今でも見覚えのあるものばかりであった。

 

洲崎の町屋ー31

2階は前出の

ライブラリーと

この個室の二部屋がある。

この計画では

今迄紹介してきたように

1階の8帖個室を除き

すべての住戸の天井は

屋根のこう配を現した傾斜で

天井部を構成している。

構造体を表した

インテリアにするためだ。

伝統建築へのあこがれ

空間の豊かさ

もあるが

雨漏り等があっても

部位が特定できる。

など維持管理上も有利だ。

天井をこの上に貼ると

天井内が一切見えない。

 

正面は押入れに見えるが

左の扉を開けると

小型の窓が現れ

玄関とつながり

通気が図られる。

エアコンは露出だが

配管はデッドとなる屋根の傾斜部を利用し

屋外に出している。

洲崎の町屋-32

  洲崎の町屋の紹介も
今回で32回目となり

おおよそ紹介し尽くしてきた感がある。

今日は法規上は必要ないが
あえてつけた外階段について。

床面積からすると、階段は一つだけでよく
ここにはせいぜい梯子状のタラップ程度のものが
あればよいことになる。

が、ここはあえて
狭いながらも階段として機能を持たせ
更なる機能の向上を目指している。

つまり画像の通路部分は住人の為の
夏の花火、観戦スポットであるし
通路の床は下階のごみ収集箇所の屋根になる。

また
この2階通路からは
更に屋根へと避難できるタラップを設け
津波対策としている。

 

洲崎の町屋-33

津波の際、屋根への避難経路も
確保している、、
と書いたが、近隣には画像のような
2階建て以上のマンションもあり
時間的なゆとりがあれば
そちらへの避難が考えられる。

あくまで急な津波の襲来を想定しており
普段は屋根や樋などのメンテナンス用
として使われる。
画像は二階通路部から中庭
を望んだところ。

 

洲崎の町屋-34

前々回の外部階段の続きです。

手前の歩道から写している画像です。

階段と建物との関係性が
お分かりいただけると思う。

今回の計画は
近隣コミュニティー

とも関係を持たせている。

津波の避難もそうだが
右下の木戸はごみの搬出用だが
近隣の住民のアプローチも可能で
左手の中庭での花見
(画像上部に歩道の桜の枝が!)
バーベキュー、奥のラウンジで行われる。

ヨガやウクレレの教室、
近所の合唱サークルも利用しているなど
近隣に門戸を開いている。

年配の方々は
茶話会を共同の食堂で開き近所の仲間も集う。

忙しい若者の生活を年配者がフォローするなど
通常のアパートでは考えられない
環境がそこにある。

 

洲崎の町屋-35

屋根に上って取った画像。

ご覧のように
中庭を取り囲んで建物が配棟されている。

また中庭に有効な
採光を得る為右側の屋根が
途中から急こう配になっている
様子も見て取れる。

南傾斜の屋根としているので
太陽光パネルの設置時も有効などなど

だが時折、

屋根に上り樋の点検など行いつつ

画像の様なルーフテクスチュア

を味わうのもよい。

外壁にも塗っている
ベンガラの里である

岡山県吹屋に行くと小高い丘があって
そこから幾重にも重なる
街道筋の家並みが見下ろせる。

瓦はすべてオレンジ色の石州瓦。

そのルーフテクスチュアは
イタリーの街並みを思わせるほど美しい。

洲崎の町屋-36

さて
洲崎の町屋には現在20代から80代までの
各年齢層の方々が奇しくも住んでいる。

画像の中庭でのバーベキュー
右手の白壁の椅子の向こうに共同の
ダイニングキッチン入口
其の奥に明るい出入り口が見えるが
その手前が共同のラウンジとなっている。

最近の賃貸住宅でも共用部分の豊かさが
入居の良しあしにつながっている。

それと同時に
このようなシェアハウスにおいては
住んでいるオーナーさんは
個々の住人にかかわらざるを得ない。

おせっかいお母さんも程があるが
オーナーさんとしては一人暮らしをするよりも
子どもの様な世代と日常的に
かかわれる、
近所の仲間が自然に集まるなど
地域社会とのかかわりが格段に増える。

季節のイベント企画や
週末のお茶会など忙しさが
そのままオーナーの生きがいになっている。

また若い人にとっては
一人暮らしのアパートに帰るより
大きな一軒の家に帰る、
家族みたいな顔ぶれがいるところに帰る、
それは心の中の豊かさに通じるという。

世の中
空家問題が身近になってきている。

私の住む鎌倉、湘南も
周辺の分譲地は老人の一人暮らしが多かったり
引き払って老人ホームに移ったり
空家が増える要因に事欠かないが
オーナーが住む古家を
自主管理型のシェアハウスにして
若い人たちとともに暮らすまた同世代、
あるいは気の合った仲間と住むことも
賃貸という、一つの事業という形をとれば
大いに入りやすいと思うのだが。

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